日蓮宗 角田山妙光寺 角田山妙光寺トップページ
寺報「妙の光」から 最新号 バックナンバー
HOME >> 寺報「妙の光」から >> 法灯継承式は、こうして中継された

法灯継承式は、こうして中継された

2018年2月号

新倉理恵子


中継会場の大スクリーンに見入る300人の参加者

 二〇一七年十一月十八日、妙光寺の「法灯継承式」は本堂から月岡温泉ホテル『泉慶』に生中継されました。感動的だった中継を実現した技術スタッフの皆さんに、お話をうかがいました。

名和国光さん
 大手ITメーカー技術者。院首の甥。安穏会員。

坂牧麻里さん
 NHKプロデューサー。「送り盆」スタッフ。

田辺直輝さん
 ITベンチャー企業勤務。「送り盆」スタッフ。

Q.最初に、皆さんと妙光寺のご縁を聞かせてください。
名和 私の母が先々代住職の次女(院首の姉)で、新住職と私はいとこ同士になります。数年前から、妙光寺のパソコンシステムを作る手伝いをしてきました。今は父も母も亡くなって、安穏廟に眠っています。妙光寺とのご縁は、いわば運命ですね。
坂牧 私は二〇〇六年に『新トーキョー人の選択』という番組の取材で、妙光寺にうかがったのが最初です。その時、大滝さんの茄子漬けを食べてしまい、あまりの美味しさに感動して、ご縁ができてしまいました。翌年のゲストが藤田弓子さんだったので「手伝ってほしい」と頼まれて、それからうかがえる時は「送り盆」をお手伝いするようになりました。
田辺 僕は友人と一緒に、コンピュータ関係の会社をやっています。数年前に霊園経営の会社から管理システムを作ってほしいと頼まれて葬送業界と関わるようになり、今はお墓を考えるHP『一墓一会』を運営しています。妙光寺の安穏廟は全国的に有名です。自然に名前を聞くようになって、妻が巻出身なので「一回話を聞いてみたい」と妙光寺を訪ねたのが二〇一六年の春でした。そして、やはり「手伝ってほしい」と頼まれまして、その夏から「送り盆」を手伝うようになりました。

Q.今回の中継は、名和さんがやりたいと言ったとも聞いていますが…
名和 違いますよぅ。(笑)4年位前に院首から中継を頼まれたんです。「本堂では参加者が入りきれない。別な会場も必要になる。その第2会場にも雰囲気をそのまま伝えたい。だから生中継をしたい」と言われました。その後「送り盆」のたびに中継の検証実験をしてきました。これがなかなか大変で、前住職の要求レベルも高くて、でも私もエンジニアですから何とか実現することができました。

Q.妙光寺から月岡温泉への中継は、技術的にはどうやったんですか?
名和 映像の画質というのは、いろいろ種類があります。一般的なものはSDというんですが、画質が悪いので本番の大きいスクリーンでは見栄えが良くありません。HD――いわゆるハイビジョンでないとだめなんですね。そのためには、お寺とホテル『泉慶』の中継回線を増やさなくてはいけない。『泉慶』にお願いしても断られ、とても困りました。結局お寺の回線を1本増やし、ホテルの方では妙光寺の防犯カメラを担当している(株)キョーショーが、中継の受信を引き受けてくれました。でも(株)キョーショーの塩入社長にとっても初めての経験で、試行錯誤されたと聞いています。

Q.昨年夏からは、田辺さんも「チーム名和」に加わりましたね。
田辺 一昨年夏に、右も左もわからない状態で「送り盆」スタッフをやりました。僕はどちらかといえば人見知りする方なんですが、最初から皆さんに「田辺さん」と声をかけていただいて、本当に楽しく過ごしました。それに20代のスタッフもいて、お寺に若い人が来るのかという驚きもありました。そうしたら帰り際に前住職が「田辺さんって、ITだよね。中継やってる甥を紹介するから…」と名和さんを紹介されたんです。そして昨年夏から、本格的に中継のお手伝いをすることになりました。

Q.そこに坂牧さんが加わったのは、いつですか?
坂牧 以前から、中継のお手伝いをしますよとお伝えしていましたが、昨年夏の「送り盆」の時、本格的に話を詰めました。本番の3ヵ月前です。その際3つお願いしました。まず台本を作ること、そしてカメラマンを入れた技術打ち合わせをすること、それからカメラリハーサルをすることです。さらに、カメラは最低でも3台、できれば4台ほしいとお願いしました。

Q.立派な台本がありましたよね?
坂牧 最初は名和さんが手書きした図がありました。中継は「位置」が大切です。決められた位置にその人がいないと、姿が映らないからです。10月9日にカメラマンの伊藤さんも一緒に妙光寺で打ち合わせをしたときには、継承式スタッフの若い石田さんが素晴らしい台本を作ってくれていました。「シーン0」から「シーン26」までの画像を入れた絵コンテ≠ナNHKでも作っていないくらいの素晴らしい台本です。

Q.リハーサルの場でもアイデアが出ていましたね?
坂牧 やってみてわかることもあるんです。継承式なので、住職親子が一緒に映る映像が大切だと気づきました。さらに、「奉告文」の場面では内容に合った映像を伝えたいと思い、リハーサル後に文章をいただきました。

Q.本当にふだん見ているテレビの映像のようでしたが、大変ですよね。
名和 カメラが複数となると映像の切り替え機が必要です。カメラ2台用の切り替え機は準備できたんですけど4台は大変で、HD1回線とSD3回線ではだめかと言ってみたんですが、どうしてもHD4回線ほしいということになって…
坂牧 すみません。そこはちょっと妥協できませんでしたね、やっぱり。
名和 そういうわけで、なんとか頑張って4回線入力できる映像切り替え機を用意しました。ところが、それがまた…(笑)
坂牧 10月9日の打ち合わせで、カメラマンから「仏様をずっと映したいので、カメラは5台ほしい。」という提案があって。確かにその方が魅力的なので、最終的に5回線入力するという事態になりまして…
名和 4回線しかありませんから、結局私が中継の途中で1本はずして、そっと付け替えました。もちろん『泉慶』チームの田辺さんや塩入さんには内緒です。途中で受信できなくなる危険性があるので、嫌だと言われるに決まっていますから。(笑)

Q.ギリギリ綱渡りの中継だったんですね?
坂牧 そうなんです。さらに、当日も雨が降って、山門から始めようと決まったのが中継開始の10分前でしたから、バタバタでした。
田辺 僕は『泉慶』にいて、無事に中継ができるのか大変なプレッシャーでした。塩入さんも、前日は一睡もできなかったそうです。本堂と連絡を取ると、直前まで名和さんたちがバタバタしているのもわかる。僕と塩入さんはドキドキしているけれど、『泉慶』会場のスタッフとお客様は、時間になれば映像が来ると信じきっているわけです。しかも妙光寺では僕は新参者なのに、映像に関しては「指示出して」と言われて、見渡すと他にいないわけですから「そうか僕がやるのか。うまくいかなかったらどうしよう」と不安で不安で……無事に始まり、無事に終わったときは、本当にホッとしました。

Q.中継は大成功でしたが、振り返っていかがですか?
坂牧 いろいろ大変でしたが、とっても楽しかったんです。カメラマンや音響の山貝さんたちとアイデアや力を出し合って、いいチームでした。名和・私は4年がかりでしたから、終わってとにかくホッとしています。
田辺 泉慶で見ていて、本堂では遠目にしか見られないところも、中継ではいいところをしっかり見られるんだと思いました。名和さんがDVDを制作してくれましたから、本堂にいた方にこそ映像を見てほしいと思います。『泉慶』会場でも、皆さんが中継に合わせてお経を読んでいました。一体感がありました。
名和・坂牧 えっ!……一緒にお経を!そういう話を聞くと、本当に嬉しいです!

お疲れさまでした。ありがとうございました。

 (聴いた人 編集部・新倉理恵子)

 前のページへ戻る
  道順案内 連絡窓口 リンク