「重機から横笛まで」新潟市角田浜 石田 誠一さん(59歳) |
2014年7月号 |
鎌田義明 |
新潟市角田浜 石田 誠一さん(59歳)
石田誠一さんは、角田浜の農家に五人兄姉の次男として生まれた。地元の建設会社叶倉組に勤務して今年で28年目になる。ベテランとして各種重機のオペレータの腕前は評価が高い。冬期は、少し離れた燕市の除雪作業も担当する。そのために冬の間は好きな晩酌も休み、天気予報に目を光らせ、時には自分の車で燕市まで天候の確認に向かう。指示が出ると夜中の12時に起きて出勤し、吹雪の中での作業となる。大変な仕事だが、これも皆のためだと誇りを持っている。
誠一さんは、妙光寺の行事に欠かさず参加する信仰篤い両親を見て育った。七歳の時には、『ご判様』の稚児として出仕し、今は同じお練り行列の輿担ぎを他の人たちと担っている。仏壇には家を新築した際に、両親の依頼で御前様から書いていただいた曼荼羅御本尊が掛けられ、お参りを欠かさない。20年前に亡くなった母美千江さんの供養のために、身延山久遠寺団体参拝にはお位牌を持って参加し、七面山にも二度登詣した。昨年の開創700年法要には、他の3人の兄姉も揃って参加し、誠一さんは全体の誘導係も務めた。
夏の送り盆(フェスティバル安穏)≠ナは、25年前の第1回から、角田浜スタッフとして会場を設営し法要にも出てきた。夜の交流会では、古くから村に伝わる角田甚句を編曲して作った『安穏甚句』を演奏する。誠一さんは唯一、中でも難しい横笛を吹く。時期が近づくと、昼休みの職場と自宅の車の中で練習を重ねる。笛の穴と唇を合わせ、一番良い音が出る角度見つけ、楽譜通りの音を出すのは本当に難しいという。冬にはお寺で角田浜の次世代の檀徒が中心になってお経会が行われる。誠一さんは、毎回参加してお経とウチワ太鼓の練習に励む。亡き母の供養のためでもあり、最終日の懇親会も楽しみにしている。
昨年、父の一作さんが他界し、年内には一周忌と納骨が予定されている。今度は両親が並んだお位牌を抱えて、また本山へ参拝したいと思っている。誠一さんは、もうすぐ定年を迎える。両親を見習って、これからも佛道に精進したいと語る。
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