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「いつも連れそって五十五年」
新潟市西蒲区下山 安藤久一さん(82歳) 一枝さん(81歳)

2012年12月号

永石光陽

新潟市西蒲区下山 安藤久一さん(82歳) 一枝さん(81歳)
新潟市西蒲区下山 安藤久一さん(82歳) 一枝さん(81歳)

安藤さんご夫婦は、畑で出来た野菜をよくお寺に届けてくれる。ご主人の久一さんが車を運転して、奥様の一枝さんはお参りや裏方の手伝いに、と足繁くお寺に通う。寺の行事にお二人の姿をいつも見かける。

久一さんは、昭和6年、今住んでいる下山の地に生まれた。父久五郎さんに視力がほとんどなく、それを母マキさんが豆腐屋を営んで助け、5人の子どもを育てた。長男である久一さんは、軍隊予備役に志願した年に終戦を迎え、3年余り農家の手伝いに出た。その後下山に戻り、県内各地で土木工事の仕事に従事するようになった。

昭和31年、近くの農家に生まれ育った一枝さんと結婚。翌年一人息子の則光さんを授かった。一枝さんは、子育てしながら、稼業の豆腐屋を手伝った。

嫁いで1年程で、豆腐屋はたたむことになった。その後一枝さんは、久一さんと共に土木工事の仕事に就く。夜も明けぬうちに夫婦そろって家を出て、現場に電車で通ったという。家の基礎工事やトンネル掘削工事の現場で、夫婦一緒に働く日々だった。現在でも、女性が土木工事の現場で働くことは容易ではないが、その当時はなおさらである。重労働もさることながら、現場にトイレが無いなど、女性にとっては厳しい環境に難儀した。雨降りの日は着替える所もなく、帰りに夫婦連れ立って風呂に行った思い出を楽しそうに語る。

「いつも一緒に現場に出て、汗を流して働くこと40年余り。大病も無くやってこれたことを、嬉しく思っています。共働きする夫婦のため、母が息子の面倒を見てくれた。これまで2人で働けたことに感謝。」と笑って語る久一さん。「夫と現場で働き、休日は家の畑仕事をし、休みなく働いてきた。キツいことも多かったけど、たまに雨風で現場が急に休みになると、家族には内緒で、そのまま2人で映画を見に行ったこともあったよ。」と頬笑む一枝さん。

そんな仲の良い2人の楽しみは、旅行だという。お寺の団体参拝にも5回参加。それ以外にも久一さんが運転をして、身延山にお参りした。合わせて10数回は総本山にお参りしている。一枝さんは、七面山に登って以来、妙光寺の七面様によくお参りするようになった。毎年8月のお祭りも欠かさず参列する。いつも御加護を頂き、今日まで元気でやってこれたと感じている。来年3月の開創七百年の法要には、これまでのお礼の思いも込めて、夫婦で参加する。

この夏、夫久一さんが運転免許証を返上した。いつも2人で車で出かけていたことを考えると不便は否めない。その代わり、息子や孫娘が車で買い物に連れて行ってくれることが嬉しい。先日の秋彼岸は、孫娘が送り迎えをしてくれたと、にこやかに語られた。

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