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一家でお寺の為に 石田直也(52歳)、初枝(53歳)さん

2008年12月号

小川英爾


長芋を洗う作業の手を休めて

地元でも檀徒の間でも屋号の喜三平(きそべい)の方が通りのいい石田さん。代々世話好きな家庭で、人の出入りの多い明るい家族だ。直哉さんはそこのお婿さんである。先々代は明治生まれで頑固を絵にかいたような爺ちゃんだったが、寺の先代住職と同年だったせいか、寺にだけは一目置いていた。その長男で先代の金一さんは弟妹が7人もいたせいか、親譲りの頑固さの中にも親分肌で話のわかる人だった。大の酒好きで年を取ってからも村一番の酒豪で通した。

その金一さんは半農半漁の暮らしで交際も広く、寺の行事には野菜や魚を調達しては届けてくれた。晩年にガンを患い、住職が講演で2週間渡米して帰国した翌日に亡くなったが、「ご前様の帰りを待っていたんだね」と親戚中から言われた。

そこに婿入りした直也さんは、2人の子供も成人し、近年農業経営も厳しく農家が減少するなかで、初江さんと2人で農業に専念している。世話好きな一家の雰囲気を受け継ぎ、さらに直哉さんは農協の役員、地区の役員も引き受けている。数年前から寺の世話人もお願いし、檀徒総代の大滝さんを補佐する地元のまとめ役でもある。

毎年夏のフェスティバル安穏で直也さんは設営を担当。今年は初江枝さんと婆ちゃんがゲストの俳優・藤田弓子さんに地元の手料理をと、各種野菜のほかに長男の稔君が従兄と一緒に海で採った岩牡蠣とネコ貝、冬から保存していた海草のギバサ汁を用意した。藤田さんが残りを持ち帰るほど大喜びされた。

今回、本堂のお釈迦様像を修復のために滋賀県の仏師の工房にお運びするのに、経費削減から石田さんのワゴン車を借りた。さらに総代の大滝さんと一緒に運転手もかってでていただいた。畑の長芋を収穫する多忙な時期なのに、往復で2日間を費やした。それを「お寺のためだから」という、そんな家族挙げての協力はいつもながらに心強い限りである。

角田浜の檀徒では行事の手伝いのほか、冬に次世代の夫婦が寺に集まってお経の練習を数日行っている。その成果もあって石田さんではお盆や命日等には婆ちゃんを中心に家族が揃ってお経を読み、太鼓をたたいてお参りする。

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