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スーパー婆ちゃん?
石山ワカさん 89歳 新潟西区

2007年9月号

ドンドンドン、お題目に合わせてワカさんの叩く太鼓の音が、本堂に力強く響く。とても89歳とは思えない迫力で、リズム感もとてもいい。若い頃覚えたお経もしっかりしている。この九月のある日、長年連れ添った夫賢一さんの七回忌をお寺で営んだ法要でのこと。
  血圧がやや高めなのと、少し耳が遠くなったかなという程度ですこぶる元気。医者にも用がないという。さすがにバイクは10年ほど前に止めたが、スーパーへの買い物も、週2,3回行く市民温泉への30の道のりも自転車で難なく行ってしまう。同居の次男夫婦が共稼ぎなので、台所仕事も一手に引き受けているそうだ。
  農家に生まれたワカさんは妙光寺の先代住職の世話で、旧巻町に文具店を営む石山賢一さんと一緒になった。賢一さんは紙屋を始めた父親の急死で、28歳で後を継いだ。そのうえまだ幼かった5人の弟たちの父親代わりにもなり、ワカさんは姑に仕えながら、二人で苦労を共にしてきた。元来が元気な性格で、バイクで実家の手伝いに行ったり、町内の妙光寺檀徒の集まりであるお講に出たり、本山参りに三回参加して73歳のときも2000mの七面山に登った。
  やがて店を長男に任せたが10年ほど前に負債を抱えて倒産。近所の人たちが皆心配するなか、夫婦で新潟市内の次男の元に身を寄せた。それでもお参りがしたくて、長男の運転する車で、暗くなってからお寺に、お墓にお参りを続けたという。まもなく賢一さんが体調を悪化させ、入院。ワカさんは食事の世話から車いすでの散歩まで、病院に通うのが日課だった。温厚な賢一さんは甘い物を好み、ワカさんの看護を喜んだが、6年前に先立った。奇しくも父親と全く同じ命日で「親が迎えに来たね」と思ったと言う。
  いまアパートで次男夫婦と暮らし、お仏壇へのお参りを欠かさない。明るい性格もあって、賢一さんの弟家族からも慕われる。「自分でも驚くくらい元気ですよ。腰ひとつ痛いなんてこともないんだからありがたいです。仏様のお陰だと思っています」とにこやかに語ってくれた。

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