白鳥の隊列
11月に入ったら、暖房の暖かさが恋しくなりました。夜は暖かくないとくつろげないので早々とこたつを出し、今日はあまりにも寒いので寝る前に近くの温泉に行ってきました。寒々とした夜の空が大きな月で明るく照らされる湯船で温まっていたら、クアークアーと賑やかな鳴き声が聞こえてきました。白鳥の隊列が白い月を横切って行きます。こんな夜に白鳥が飛ぶなんて…。月明かりを頼りに「もう少し頑張ろう!」などと話しながら、近くのねぐらを目指していたのかもしれません。この美しい光景に、近くでお風呂に入っていた女性グループの一人が言いました。「今日はいいものをたくさん見たわ。山の紅葉、きれいな月、白鳥、お風呂にもゆっくり入って、幸せね!」と。
『世界しあわせ紀行』
夏の終わりに『世界しあわせ紀行』という本を読みました。戦争や紛争の取材にうんざりした報道記者が、世界じゅうの幸福度が高い国を旅して、人間が幸せと感じるものを探す旅の記録です。わが日本は残念ながら幸福度がとても低いので、来てくれませんでしたが…。それで「幸せ」について興味を持ちました。
日々の生活だけで考えると、私自身は「幸せ?」と聞かれたら「うーん」と答えるとおもいます。大人なら、なかなか答えられませんよね。幸福は非常に個人的な感情に左右されるものですし。それで先日10年ぶりの同級会にいって、調査してきました(笑)。といっても、4人の仲良し会なのですけど。介護や夫との関係など問題はかかえつつ、でも家族に頼りにされている間はおおむね幸せ、つまらない家事も「ありがとう、助かるよ」の言葉や、たまの同級会などの外出に快く行かせてもらえれば、それだけで幸せ感はアップ!時間に追われる生活でも幸せと感じる…。
私の妹はガラスの作品を作って仕事としていますが、かけ出しの頃あまりにも貧乏で「辛くないの?」と聞くと「お金が無いのはきついけど、好きなものを作っていられるから幸せだよ。」となんの迷いもなく言いました。お金でもない…。
幸せってなんだろう?
幸せってなんだろう?幸せな人生は自分の力で切り開けるものではあると思うけれど、同時にある種の運命のような流れに乗っかってもいて、思わぬところで(あれれれー?)と思うような出来事が起こります。本当にわかりません。
ささやかでも、小さくても、シンプルに日々の暮らしの中にあらわれる「わーい」が幸せで、「くそっ」と思うことが不幸、そんな程度でよいのではないかと思いはじめました。
今年も妙光寺の一年が終わります、いろいろな行事等へのご協力ありがとうございました。栗は豊作でしたが、銀杏は不作のようです。それでも少ないものをみんなで分け合う!これってすごく幸せ感がありませんか?大晦日にお配りします。暖かくしてお出かけ下さいね。
(*『世界しあわせ紀行』エリック・ワイナー著 関根光宏訳 早川書房)
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