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暖かい関係

2012年3月号

小川なぎさ

大雪で今年ほど大変な冬はなかったと思います。私も除雪をしながらお一人で生活なさっている皆さんのことを考えていました。でもあと少し、春はすぐそこです。

2月、寺も雪がたくさん積もりました。そんなある日のことです。地元角田浜の檀徒さんが集まるお経の会の、年に一度の食事会がありました。6年前に始めた若い世代の会もありますが、それとは別の『お講』という、昔からの親世代の集まりです。若い方が当番で集まり、買い出しから昼食つくりまでまかなっています。その『お講』の記録帳が昭和37年から残っています。そこから昭和40年の記録を紹介します。

去る3月5日夜岩屋前「ホテル角田」の火災の際、妙光寺に火の粉が飛び来たり、近火見舞いの酒を貰ったので、本日お講の酒は寺より見舞いの酒を出す。酒代で魚を買うて賄う。

先代住職の記録だと思われます。走り書き程度のメモでも、当時のあり様が目に浮かびます。また世代は代わっても、昔からの家ごとの屋号が今も同じく残っていることに、心がホッと温かくなりました。

50年後のこの日の『お講』の食事会も和やかで、笑顔のあふれる楽しい一日でした。それにしても岩屋前「ホテル角田」とは気になります。どんなホテルでまた現在のどこにあったのか?ご存知の方は今度教えてください。

この冬、浄土真宗のお寺の坊守さんたちと話をする機会があり、同じ宗派の人とでは語れない本音の話ができたことが最高の勉強でした。私も寺庭夫人としてそれなりに頑張ってきたつもりでしたが、次期住職婦人への交代があると思うとどこか気持ちが引いてしまうことがありました。でも真宗系の彼女たちの寺に骨をうずめる覚悟、子を跡継ぎとして育て、それでもなお男社会である寺で自分の存在意義を求め続けている姿に感動しました。

あと何年この仕事ができるのか分かりませんが、与えられた本分を誠実にこなしてゆく。そんなことを思った冬でした。頑張らなくては!

人間同士、裏も策略もないさわやかな関係は、まさにお寺という場所では簡単に作れます。私もそんな暖かい関係のなかで、育てていただきました。今年もみんなでほんわかとやっていきましょう。

お花見の頃から、主に週末に院庭でお茶コーナーを出そうと思っています。寺においでのときは一服休んでいってくださいね。

「お講」の昼食会。当番制で若い世代が作り、皆でいただきます。
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