開創七百年記念インタビュー
仏縁を広く結んで、誰もが心を開ける妙光寺に―総代さんに聞く― |
2014年3月号 |
新倉理恵子 |
妙光寺の檀徒の中心は、25人の世話人さんです。その中から互選で選ばれる3人の総代さんは、いわばお寺の運営の中核を担う方たちです。総代さんに、これまでとこれからの妙光寺について、うかがいました。
内藤 昭栄さん(71歳)
平成16年4月から世話人となり、平成24年6月から総代になった。もうすぐ2年になるのかと、少々驚いている。元公務員。
大滝 剛さん(62歳)
平成12年、世話人となると同時に総代になった。専業農家で、メロン、スイカ、ネギ等々、野菜づくりをしている。
高橋 英一さん(64歳)
本堂建て替え前の平成13年に世話人となり、平成24年6月から総代に。農業のかたわら、タクシー会社に勤務される。
- Q.昨年の開創七百年記念団体参拝は、いかがでしたか?
- (内藤)無事に終わって、本当にホッとしました。天候にも恵まれて、事故もなく、大成功でした。やはり御前様の人徳ということでしょうねぇ。
(大滝)
初めて構想を聞いた時「これはいい」と思いました。何よりインパクトがあります。でも、700人を集めるのは、無理だと思いましたね。
(内藤)
私も、やるのはいいことだけど、400人くらいじゃないかなぁ、と思っていました。
(高橋)
前様は、500人に届かなかったらやめると言うんだから、大変なプレッシャーがありました。当初参加申し込みも、350人くらいでピタッと止まってしまって・・・。
(大滝)
夏になって締切が近づいて、目標に達した時はホッとしました。
(高橋)
七百年団体参拝は、とてもやりがいがありました。あの緊張感と達成感を、どんな形で持続していけるか。次の世代をどう育てていくか。これが、これからの課題です。
- Q.妙光寺の現状については、どんな風に見ておられますか?
- (高橋)妙光寺のようなお寺は、とても珍しいんですよ。お寺の総代さんたちが集まる会議で聞いてみると、ここほどしっかりした会計報告はされていません。妙光寺はとても先進的なんです。財務が非常にオープンなので、皆に状況がよくわかりますし、無駄遣いもできません。
(大滝)
以前から会計報告はしていたんです。本堂建て替え後の平成14年に、檀家組織の「護持会」が現在の「檀信徒会」になったときから、今のように詳細な会計報告をして、会計監査もやるようになりました。
(高橋)
法律上も今の規模では、ここまで詳しい会計報告をする必要はないんです。でも、妙光寺はしっかりやっています。
(大滝)
これは、とても大切なことです。話し合いの基盤がしっかりしているから、私たち役員も御前様に意見が言えるんです。そうでないと、御前様の言うことをハイハイと聞いているだけになってしまいます。
- Q.御前様の発想に、ついて行くのは大変じゃないですか?
- (高橋)
とにかく、御前様はアイディアマンです。新しい構想がどんどん出てきて、確かになかなか大変ですよ。(笑)
(内藤)
私は大変だとは考えたことはありません。どんどん発想が出てくるのはいいと思います。私たちは、出てきたことに対して、いいとか悪いとか言えばいいわけですから、ある意味では楽かもしれません。飛んでくるボールを受け止めたり、跳ね返したりしていればいいんですから。
(大滝)
逆の立場になってアイディアを出せなんて言われたら、とても無理ですから、受け止めてる方が楽でしょうね。ただ、うまく受け止めなければ、という責任は感じています。
- Q.これからの妙光寺を、どんなお寺にしていきたいと思いますか?
-
(内藤)
こんな風にうまくいっているお寺は、少ないと思います。今のいい状態を、これから何十年、何百年と続ける努力をしていかないとね。
(高橋)
(聴き手に)私は、妙光寺の中に入っている人間ですが、あなたは、「お寺」というとどんなイメージを持っていますか?
- 聴き手・法事やお葬式の時に行くところ・・・でしょうか。
-
(高橋)そうですよね。でも、これからのお寺は、それでいいのだろうかと思うんです。もっと若い人が共感するものを、提案していくべきです。たとえば、今の日本は毎年3万人も自殺する人がいます。そういう人たちを、1人でも2人でも救えるような寺になってもらいたいのです。
(内藤)悩みがあれば、誰もが話に来れるような寺ですね。ここに来て、自分の考えをオープンに語れる場所、法事以外の時も話を聞いてくれる開放的な場所、そういう寺ならこれからも栄えていくでしょう。
(大滝)妙光寺は、他のお寺にはないイベントをたくさんやっています。ご判様や送り盆、そして文化的なイベント・・・その中で、若い人たちの悩みにこたえることもしていけると思っています。
(高橋)いろいろな角度から、いろいろな意見を出してもらうことが、大切です。1月には25人の世話人を3つのグループに分けて、今後の寺の方向について話し合いました。たくさん意見が出ましたよ。
(内藤)
こうやって、皆で話し合っている寺も、珍しいでしょうね。
(高橋)妙光寺には安穏廟があって、昔からの檀徒の他に安穏会員さんがいます。従来はともすれば、これは檀徒の行事、これは安穏の行事、と分かれる傾向がありました。でも安穏廟も、今年で25周年です。私たちは皆、縁あって妙光寺でよりそうのだから、皆が参加できるイベントにしたいですね。
(大滝)
安穏会員から檀徒になる方もいますが、今は安穏出身の人で世話人になっている方は1人だけです。もっと増やしていきたいですね。
(内藤)檀徒の人も安穏の人も同じお寺に縁を結んでいるのですから、垣根を取り除いていくことが、お寺の発展につながると思います。お寺は、何百年も守っていくことが基本で、七百年の先には次の百年があるわけです。安穏会員さんたちも、妙光寺に来て安心されていると思いますが、もっともっと安心していけるようにするために、暖かさと安心を広げる寺でありたいと思います。
(高橋)類似している(寺と関わりない)霊園が、このごろ増えています。でも、何百年も経ったらどうなるのだろうと思います。商売のための霊園もありますが、お寺は違います。金儲けではないんです。
- Q.七百一年目以降の妙光寺の課題は、なんでしょうか?
-
(高橋)
2つの大きなことがあります。まず、3月の参道植栽と記念碑の除幕式です。それから新住職への引き継ぎは、2年くらい時間がかかります。形のあるものと形のないものを共に引き継ぐわけですから、難しいこともあると思いますが、うまくやっていきたいと思っています。
- Q.数年後に新住職となる良恵さんに、ひとことお願いします。
-
(内藤)
今の住職の跡を継ぐんですから、大変だろうとは思います。でもあまり気にせずに、やっていってもらいたい。そして、自分の人生を大切にして、お坊さんになって良かったと思ってほしいですね。
(高橋)
今の御前様も、40年経って完成されたんですから、40年後を目指してもらえればいいんです。しかも宗教法人妙光寺の代表になるのですから、ひとりでやるわけではありません。私たち皆で、妙光寺をやっていくんです。私たちも良恵さんに正確なボールを投げ返していかなければ、と思っています。ただ私たちは3人とも総代ですが、「責任総代」は大滝さんなんですよ。まず大滝さんにしっかりお願いしたいですね。(笑)
(内藤)
寺の存亡に関わる重大な役目ですよ、これは。(笑)
(大滝)
もちろん、新住職としっかり相談しながら、皆と協力してやっていきます。(きっぱり)
私自身も微力を尽くしたいと思います。どうもありがとうございました。
妙光寺に、また一つ生まれる新しい伝統が、楽しみです。どうもありがとうございました。
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