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教えてお上人 七面様とは、どのような仏様ですか

2013年7月号

小川英爾

七面様

―質問―   七面様とは、どのような仏様ですか?

―回答―

妙光寺の裏手300m程のところに、100人は入れる巨大な洞窟があって『岩屋』と呼ばれています。氷河時代に波の浸食作用でできた海蝕洞≠セそうです。

昼でも薄暗く、足元には賽の河原を模した石が積まれ、あの世とこの世を繋ぐ入り口≠ニいう昔の人の言い伝えも納得できる雰囲気が漂います。

文永8(1271)年、佐渡配流の途中の日蓮聖人が、ここをねぐらに悪事をはたらく七つの頭を持つ大蛇≠教化(改心)されました。改心した大蛇が「これからは、末法(お釈迦様ご入滅後2000年が過ぎて世の中が乱れる)の時代、『法華経』信仰者の守護神となります」と誓い、後に身延山西側の七面山に登ったと伝承されています。

身延山には、身延入山後の日蓮聖人のお説法を毎日聞きに来られる妙齢の婦人がいて、聖人と親しそうにされるので、お弟子や他の信者がいぶかしく思っていました。聖人の「皆に姿を見せてあげなさい」というお言葉で、女性は一丈(3m)余りの竜の姿になって「私は七面山にすむ七面天女です。身延山の裏鬼門を押さえて、山を守護する護法神として姿をあらわしました。法華経を信仰する者が一所懸命祈るなら、心の安らぎと満足を与えましょう」と言い終わると、七面山の方向に姿を消したと伝わります。

以来、日蓮宗信者の守護神として、七面山を中心に各地で祀られるようになりました。 その発祥の地が妙光寺の岩屋という一つの説です。

妙光寺では岩屋と境内には石像で、本堂には大きな木像で、七面様をお祀りしてあります。そのルーツ(本地)は『鬼子母神』の娘で容姿端麗な『吉祥天』と言われるそうで、とても端正お顔立ちです。ぜひお参りください。毎月19日(朝7:30)が月例で、8月19日は年大祭として法要しています。

七面様のお像は左手に宝珠、右手に鍵を待ちます。『法華経・提婆達多品』に登場する竜女が「われ大乗の教え開きて苦の衆生をすくわん」といわれ、仏さまの教えの蔵を開く鍵です。私たち自身の心を開かせる鍵でもあります。宝珠はその教えを象徴します。

熱心な信者が多かった時代、毎年8月19日には大型バス3台ものお参りがありました。またかなり前ですが、入口に小屋を建て、数年籠った修行者がいたと聞いたことがあります。毎月18から19日にかけて一晩お籠りしたグループ、秋から冬の100日間、自転車で通い1日中読経した和田さんという方もいました。最近は毎月お参りを欠かさないという方が数名おられ、8月19日にはそうした方々が熱心にそれぞれの祈りを込めてお参りされます。

最近は心霊スポット≠ネどと言って、テレビ取材の依頼が時折あります。しかし宗教上の聖地ですから、興味本位な扱いは一切お断りしています。

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