日蓮宗 角田山妙光寺 角田山妙光寺トップページ
寺報「妙の光」から 最新号 バックナンバー
HOME >> 寺報「妙の光」から >> バックナンバー >> 2003.12〜2013.12 >>「開創七百年記念身延山700人大法要 小川住職インタビュー」

開創七百年記念身延山700人大法要によせる思い
小川住職インタビュー

2012年3月号

新倉理恵子

 妙光寺では開創七百年を記念して、来年3月に「身延山700人大法要」を実施する予定です。妙光寺に縁を結んだみなさんと共に、総勢700人で身延山参拝を行おうというのです。妙光寺始まって以来の壮大なこの計画に込めた思いを御前さまに聞いてみました。

Q.700年の歴史を、どんな風にふりかえっていらっしゃいますか?
ここ角田浜は、日蓮聖人が佐渡に配流される際に立ち寄ったゆかりの地です。妙光寺の歴史は、正和2年(鎌倉末期1313年、日蓮聖人の入滅から31年目)に、日蓮聖人の孫弟子にあたる日印上人によって創建されたことに始まります。来年2013年には、開創七百年を迎えることになります。 この700年の歳月は、決して順風満帆なものではありませんでした。住職がいない時期もありましたし、江戸時代中期には、50年の間に二度の火災にも見舞われました。先代の住職であった私の父は、戦中と戦後の激動の時代を妙光寺で過ごしました。寺は農地解放で農地を失い、財政的にも大変厳しい時代が続きました。境内は排水が悪くて2、3年に一度は床下浸水にあいました。父を始め歴代の住職と檀徒のみなさんの苦労の上に、開創七百年の今があると思うと、本当に感慨深いものがあります。
Q.御前さまも、今年は還暦を迎えられるんですね。
私は、父の亡きあと、22歳で住職になりました。私が住職になってからも、寺の財政はひっ迫し、みなさんには何かにつけて寄付をお願いする状態が続きました。20年ほど前、妙光寺は「安穏廟」という新たな挑戦もはじめました。それは、今までの歴史と伝統の上に、新たに何かを積み上げる挑戦でしたが、幸い今妙光寺には、檀徒さんに加えて新たに支えてくださるみなさんが多数集まっています。多くのお力添えをいただいて、新しい客殿、本堂を建て、境内の整備も行いました。そして妙光寺は、開創七百年を記念した「身延山700人大法要」を計画できるところまで来ました。 今年還暦を迎える私は、住職になって38年目になりました。来年61歳の年に、妙光寺の開創七百年を迎えるのは、まさに仏様のお導きだと思います。
Q.700人大法要を計画されたのは、なぜですか?
妙光寺の開創七百年を、どんな形でお祝いしていくかについては、数年前から考えてきました。こういうとき、多くのお寺では、新しく建物を整備したりするのですが、それはもうひと通り終わっています。妙光寺が今行うべきことは、目に見えないものを創っていくことではないかと思いました。 700年に700人が集まり、「私たちは、同じ妙光寺につどう仲間だ」という連帯感を創りあげること。そんな心の核――求心力をもった寺になりたい、と思ったのです。 では700人がどこに集まるのか、新潟のホテルでパーティーをするのか、とも考えましたが、妙光寺ならではの場所にしたい、それなら身延山しかないということになりました。身延山の総本山にご相談したところ「700人の法要は十分にできる。一ケ寺で行うのはあまり例がないので、大歓迎です。」とうれしい返事をいただきました。 身延山という霊地に、妙光寺で縁を結んだ人たちが一堂に会し、700年の歳月を刻んでこれたことへの感謝を報告し、これからも共にがんばっていこうと決意する集まりにしたいと考えています。
Q.連帯感を創らなければ、と感じることがありますか?
葬儀や法要にうかがうと、集まる親族などが減っていることを実感しています。家族、血縁、地縁のつながりが、どんどん薄くなっているのです。その中で、ひとりぼっちで悩んだり、小さなことで落ち込んだりしている方に出会うことが増えています。悩みや困りごとがあると、お寺に相談に来てくださる方も多くあります。妙光寺を頼ってくださるのは、大変うれしいことです。 しかし、私ひとりでは解決できないこともたくさんあります。むしろ妙光寺を核にして、檀信徒のみなさん、安穏会員のみなさん、妙光寺を支えるみなさん同士につながってもらいたいのです。 妙光寺は、みなさんに支えられて今日まできました。そんな妙光寺を取り巻く人の輪を、再確認し実感する場をもちたいと思って、この「開創七百年記念 身延山700人大法要」を計画しました。
Q.佐渡の『鼓童』も参加してくださるそうですね。
相談した役員の中から、「せっかくの七百年大法要なのだから、それなりに感動のあるものにしてほしい」という声がありました。そこで、妙光寺にご縁のある音楽を加えてはどうかと思いました。 実は、佐渡の和太鼓集団『鼓童』の関係者の中に、安穏会員を経て今は檀徒になっている方がいます。その方に相談したところ、大法要の際に大太鼓と笛と踊りを奉納したらどうか、という話になりました。『鼓童』の本拠地・佐渡は、日蓮聖人のご縁の深い所ですし、大変いい案だと思いました。『鼓童』のみなさんも、海外公演の日程を調整して、参加してくださることになりました。ですから、大法要は『鼓童』とのコラボレーションになります。私が導師を務め、式衆の僧侶も30人ほど、身延山から参加してくれます。さらに、関わりの深い寺のご住職や各地の友人のご住職にも声をかけます。心に残る素晴らしい法要にしたいと、思っています。
Q.700人の法要というのは相当大変だと思いますが、いかがですか?
七百年記念に700人というのは、最初は語呂合わせのようなアイディアでした。でも、考える程にいい案だと思えてきて、今はぜひ700人の方に参加していただきたいと思っています。費用もどなたでも参加しやすいようにしたいと、旅費実費の約半額はお寺の基金の一部を取り崩して支出することにしました 従来の檀徒さんのご家庭からは、最低お一人はご参加いただきたい。できたらお二人参加してくださらないと、700人にはなりません。安穏会員にも、またそのご家族にも、妙光寺に縁のあるすべてのみなさんに、ぜひ参加していただきたい。仏様の前では、みな同じ妙光寺の仲間なのですから。
Q.御前さまには、なみなみならぬ決意があるということですね。
はい。私も住職になって、40年近くが経ちました。先も見えてきたように思います。この「七百年記念大法要」は私自身のこの40年の一つの集大成だと考えています。妙光寺につどうすべてのみなさんと共に、これに臨みたいと思っています。よろしくお願い致します。

どうもありがとうございました。(聴いた人 編集部・新倉理恵子)

  道順案内 連絡窓口 リンク