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信心 〜ともにお寺を支えて〜

新潟市西蒲区松山 河村一良さん(79歳)・ヒデさん(79歳)

2016年12月号

鎌田



 河村一良さんは、旧巻町松山の農家に生まれた。6人兄弟の長男である。地元中学校を卒業後すぐに農作業を手伝い、30歳の時に家業の農業を受け継いだ。妻ヒデさんは同じ松山の出身、縁あって昭和35年に一良さんと結婚した。

世話人として26年
 一良さんは父親に代わり49歳で妙光寺世話人に就任した。以来26年間、松山地区の檀徒を取りまとめ、お寺の本堂建て替え等の事業に尽力された。一昨年の改選で定年を迎え、今は顧問として松山地区の世話人を支えている。
 また、農村地域を人々の集う場所にしたいと考え、地元『上堰潟公園』のシンボル像建立実行委員会の代表として地域の振興発展に尽くしてきた。

趣味の菊作り
 9年前に伯父さんに菊作りを習い、のめり込んだ。観賞用の盆栽菊は完成まで1年半もかかり、水やり、日当たり等1日たりもとも目が離せない。見様見真似で始めた菊作りだが、今では各地の品評会で常に優秀な成績を修め、今年は新潟県菊花展覧会で『農林水産大臣賞』を受賞した。
 菊花展に出品された作品の一部は、5年前から妙光寺の客殿玄関にも奉納展示されている。丹精込めた盆栽菊は、お寺を訪れる人々の目を楽しませている。

勝手働きのヒデさん
 妻のヒデさんは一良さんと共に農業に励み、大家族の嫁として家を支えてきた。お盆には親戚や家族が賑やかに集まり「20人も泊まったんだよ。」と優しく笑う。
 お寺の行事には自宅で獲れた野菜を奉納し、勝手場の働きとして熱心だった。以前2日間に渡り夜通し行われた『ご判様』行事の夜食の準備や食材の調達を担当し、早朝から買い出しに走ったことが思い出深いと言う。
 現在は勝手働きをお嫁さんと交代し、季節ごとのお寺参りを欠かさない。これまでは近所の檀徒の人たちを、自分が運転する車に乗せてのお参りが長かったが、近ごろはこの人たちが高齢で、一緒にお参りできなくなっているのが寂しいとも。

世代交代の中で
 松山地区では農作業が落ちついた冬の夜、7軒の夫婦が当番制でお宅に集まり、こたつを囲み先代のご前様にお経を習った時代がある。こうした講中≠ヘ各地で古くから続き、『松山講中』の歴史も長い。
 最近は世代交代して次世代が中心になってお経を習った。この人たちが家族を亡くしたお宅で、初七日から四十九日までの七日毎の夜に集まり、追善のお参りをしている。ヒデさんは「若い世代が講中を引き継いでくれることが、何より嬉しい」と喜んでいる。また、河村家では、家族一人ひとりが毎朝仏檀をお参りするのが日課だ。お花とお水、お仏飯のお供えは年中欠かしたことがない。
 今は長男の茂さん夫婦が営む『河村農園』を手伝いながら、4人のひ孫の成長を楽しみに見守るお二人である。

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