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「お寺とともに半世紀」
新潟市西蒲区角田浜 石田信子さん 78歳

2012年7月号

永石光陽

新潟市西蒲区角田浜 石田信子さん 78歳
新潟市西蒲区角田浜 石田信子さん 78歳

石田信子さんは、24歳の時に角田浜の石田誠太郎さんの元に嫁いだ。以来半世紀以上、妙光寺の檀徒としてお寺を支えながら信行を深めている。春秋のお彼岸、お盆等行事には必ずお参りを欠かさない。手を合わせ、お参りすることが当たり前だと言う。

そんな信子さんと仏様のご縁は深い。角田浜の隣村、越前浜に産まれ育つ。お父さんは浄土真宗の僧侶として、越前浜のお寺に勤めていた。そのお寺が、信子さんの学校帰りの遊び場だった。おかげで、お寺に行くことに何も抵抗がないという。浜松中学校1年生の時、当時教員でもあった妙光寺の先代のご前様が担任になった。とても優しく、大好きな先生だった。角田浜に嫁いでからは、檀徒として妙光寺に行くようになった。先代ご前様の大ファンで、事あるごとにお寺に足を運んだ。まだ幼い子供を連れて、角田浜の講中のお経会にも参加した。20代での参加は珍しく、村のおばあちゃんたちが、子どもと自分をとても可愛がってくれたという。

信子さんには、妙光寺の行事での思い出がたくさんある。中でもお寺の鐘の鋳造を見に滋賀まで行ったことは忘れられない。先代が遷化され今のご前様が入寺したとき、檀家世話人会がまず初めに取りかかったことが、鐘楼堂に戦争で供出したままになっていた鐘を吊すことだった。ようやく事業がまとまり、鐘の鋳造をみんなで見に行くことになった。夫の誠太郎さんと共に参加した滋賀への旅は、十数人が参加し、とても楽しかった。「お寺の鐘はいつでも見られるけど、作る過程を見られるのはこの時だけ。こんな機会は滅多にないと思って行きましたよ。」それからも、お寺の中国団参やご前様のソウル大学講演に同行するなど、ずっとお寺を見守り続けている。

信子さんは山登りが趣味で、息子さんたちと富士山や谷川岳などに登る。昨年までは冬を除き、角田山に毎週一人で登っていたという。名実共に妙光寺を、角田浜を50数年見続けてきた人である。

あの時鐘の鋳造を一緒に見に行った人たちが随分亡くなったのが寂しい。だけど嫁いだ頃は、若い人がほとんどいなかったのに、今は若い人がお参り来ている姿を見るのがうれしいわ。私はお寺が楽しいからお参りするの。今のご前様も大好きだし、楽しい。足が動く限りこれからもお寺に足を運びます。来年の身延山での七百年記念法要も楽しみ。なにせ、百年に一度のことですもの。」と目を輝かせる信子さん。

大病もせず、毎日をいつものように過ごせることが、何よりの功徳だという。来年開創七百年を迎える妙光寺を、半世紀に渡り見守り続ける信子さん。妙光寺の節目に遣わされた、仏様のお遣いのような方である。

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