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散華の立役者  新潟市北区 野澤 進さん 77才

2009年9月号

小川英爾

仏前結婚式での散華
仏前結婚式での散華
散華を切る「抜き型」
散華を切る「抜き型」

大きな法要に欠かすことのできない散華という紙で作った花びらがある。これは華を散らすと書いて、仏様をお迎えする場所に花びらを敷き詰めて飾るために行うもので、インドやタイでは本物の花びらを使う。日本ではそうもいかず、紙でできたものを使う。妙光寺では4月のご判様、8月1日のお盆法要、それにフェスティバル安穏で、数千枚を撒く。

市販のものは絵柄が印刷されてあったりして、1枚5円から10円以上して高価なため、とても大量に撒くことができない。そこで妙光寺では5色の和紙を行事の前に皆ではさみで切って作っていたのだが、これが大変な作業だった。「仕事中に会社の机の下で切ってました」なんて方もいたりして。

そこで野澤さんが「抜き型」を作って紙を切り抜けば量産ができる、と知人に依頼して埼玉県川口市の鋳物職人に作ってもらった。元になる5色の和紙も安くないので、親しい紙問屋の社長に話して市価の3分の1の値段で買えるようにしてもらった。以来10年ほどになるが、心おきなく散華ができる。4月から妙光寺に勤務している永石上人の大分時代、結婚のお祝いに大量にこれを贈って結婚式で撒いて大好評だった。地味になりがちな法要がとても華やかで明るくなる。

野澤さんは父親の起こした製本業を18歳のときから手伝い、取引先の印刷会社の倒産で廃業する10年前まで50年間携わってきた。だから紙の関係に詳しく、知り合いも多い。「小さな業界なので無理すると他と競合することになるからきっぱり廃業して、以来年金暮らしです」と。2人の娘は嫁ぎ、同居する長男夫婦に子供ができないからと、相談して古くなった先祖の墓の改修を期に安穏廟に移った。生前戒名を受け、研修に参加して覚えたお経を毎朝欠かかさない生活を送る。

「散華を切る″抜き型″も切れ味が悪くなるから電話帳で″研ぎ師″見つけたが高齢で後継者がいない。予備を作ろうにも10年前の業者と連絡が取れない。先日の免許証更新はなんとか大丈夫だったが、車の運転ができるうちにもう一つ作って心配ないようにしておきたい」と、刃物製造業の多い三条市近辺を歩いている。(恥ずかしいからと本人の写真はお断りされました)

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