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新たな決意?

2013年7月号

小川なぎさ

永石光陽上人には、この春まで4年間お勤めいただきました。昨春、永石上人が大分に帰る決断をされたとき、私の中を激震に近い感情が走りました。この先の妙光寺を案じて絶望と不安でいっぱいになり、しばらく元気がでませんでした。30年近い寺の生活の中で、私は「志のある人が次の代は引き継ぐべきだ」とずっと思ってきました。これは私の考えで一般論ではありませんが、それでも勝手に次期住職候補として永石上人には大きな期待を寄せていたし、後ろ盾もなく、見ず知らずの土地で一人僧侶としての志を立てるということが、これからの僧侶にふさわしいあり方だと思いこんでいました。そしてそのような住職の交代にあこがれていたのかも知れません。もちろん現住職と寺を支えるという重圧から逃れて楽になりたいという、私的ないやしい心が無かったとは言えませんが。(笑)

そもそも寺のあり方には、理想と現実との間に大きなかい離があるように思えます。何度も言っていることだけれど、理想としては、寺はかかわる皆さんの財産です。皆さんが株主のようなもので、その気なれば住職の解任だってできますし、宗教活動に対しては税金が免除されています。だから家業として私物化してはいけないもので、広く社会の役に立つ活動をしなければならないし、住職の世襲はよくない。これまで、みなさんといろいろな相談を重ねつつ、住職の一般公募をはじめ、開かれた寺をめざしてやってきました。でも失敗してはくじけ、大事なお金もずいぶん費やしてしまいました。それがいまの現実です。

失敗から学ぶこともたくさんあります。結果として娘が出家をしたことは、母親としては心配だらけです。でも、現実を受け入れて次の理想を語らなくては、と思います。

初夏の境内は、さまざまな野鳥の声であふれています。新緑も日ごとに色濃くなってきました。心地よい風に吹かれて、うとうとしたいものです。できるなら少しでも空の近く、屋根にテラスでも欲しいなぁ。暑い夏がやってきます。ご自愛ください。

最後に、今では懐かしく思い出す永石上人のお便りの一部を紹介しますね。

(永石上人の手紙より)

あと少しで住職交代の手続きが終わります。お寺に戻りいろいろなことが動き出しました。課題は山積みですが、とりあえず自分の足場を固めることに専念しています。妙光寺も、夏にむけて動き出していると伺いました。みなさん慌ただしい毎日なのでしょうね。容易に想像できます(笑)ご自愛の程もうしあげます。

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