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アンニョンハセヨ!(こんにちは)

2012年12月号

小川なぎさ

ここではないどこかで暮らしてみたい、とずっと思っていました。また好きな料理の勉強をしたい、とも。その2つの夢を今、心から楽しんでいます。

韓国ソウルで1ヶ月、台所のついた宿で、時々料理の授業を受けながら暮らしています。今は日程の半分が過ぎたところ。あちらこちらの市場やスーパーを歩き回り、おもしろそうな食材を買っては食し、お寺を詣でては精進料理を食べさせてもらう。先日はお寺で山のように積まれた唐辛子のへたをとるボランティアに参加して、夕食をごちそうになってきました。明日はお寺のお祭りの料理作りを、手伝うことになっています。

30年間妙光寺のために尽くしてきたご褒美というにはあまりにも贅沢ですが、まさか本当にこんな素晴らしいプレゼントがいただけるとは、思ってもいませんでした。一日をまるごと自分のために使えるということは、私の日々の暮らしの中では無いことだったので、しばらくは落ち着かない心持ちでした。でも健康になろうと自分の足で歩き回り、生活のリズムが整ってくると、けっこうきちんと生活できるものなのだということも分かってきました。

「韓国の寺の精進料理は寺刹料理という。季節の食材を使い、人間の体質と特性に合った菜食主義の料理で、すべての植物が持つ薬理効果を分散させず最大化する方法で料理する」という考えの尼僧さんにお会いしました。僧侶でありながら、栄養学の専門家で研究者でもあり毎日多忙な方なので、その方の一番弟子の先生に料理の手ほどきをうけています。

料理をただ作り続けてきただけの私が、目的や考え方を持つ料理を目の当たりにして動揺したのは言うまでもありません。教えていただいたことが、頭の中をかけめぐっています。「どうして料理をならいたいのですか?」と聞かれ、「私の寺のみなさんに美味しいものを食べていただきたいからです」と答えたことは本当の気持ちです。

後半は料理上手なアジュマ(おばさん)から韓国の家庭料理を習う予定です。

その土地の食材と風土が料理を作るのだ、とあらためて実感しています。帰ったら、経験したことをじっくりと思い起こして台所に立ちます。妙光寺の行事料理、また自分の日常のごはん作りがどう変わるのか、少し楽しみです。

あっという間に年末です。境内の銀杏ははたして豊作でしょうか?帰ったら急いで準備しますので、除夜の日には暖かくしてお出かけ下さいね。

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