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決算報告!と宝物

2011年7月号

小川なぎさ

しらじらと夜が明けてくると、にわかに外がにぎやかになる。(ほーほけきょ、ほーほけきょ)(ちっちっ、ぴいっよ・・・)それにしても、このウグイスという鳥はどうしてこんな鳴き声なのだろうな。などと思いながら外にでて、朝の空気を吸い込むのがこの季節の楽しみだ。なにせ夜明けとともに目が覚めてしまうから。三文の徳になっているかどうかわからないけれど、この静かな朝が大切な時間だ。

寺の法人としての収支決算は年1回、4月から翌年3月までの収支を6月の世話人総会で報告する。会計事務所の正式な決算書類(貸借対照表)はなんとも理解がしがたく、会社の決算書に関する本を読んだりもしてみたが、何年たっても、この数字を実感としてとらえるのはむずかしい。収支計算書は入ったものと出たもので、これはわかりやすいが、こんどは全体としてのふところ具合が見えてこない。それでこれらの数字をかみくだき、会議に報告できるように準備するのが、この時期の仕事だ。昨年、長い間の念願だった社会保険(厚生年金などの)加入も実現して、宗教法人としての体裁がととのった。一般会計と、安穏事業の2本の柱が寺をささえる。

境内入口の工事や定期的な補修工事で、外部の人からは「寺ばっかりだな。景気がいいのは・・・」なんて言われることもあるけれど、寺はその理念がゆるぎないものなら、何をいわれても怖くない。現実には社会や檀信徒のために存在していると、みなさんに理解してもらえる活動を続けることで名実ともに宗教法人になれると思っている。だから宗教活動や寺の運営には法人税なし、これが坊主丸儲けと勘違いされてしまう所以かも。ちなみに一般会計予算のおよそ6割が人件費で、一応経理部長としてスリル満点の日々を送っているのです。(笑)

お坊さんも個人的にはみんなと同じ、源泉徴収で税金を払っている。守らなければならない家族がいると給料も必要だ。僧侶は独身でいるべき、と個人的には思うのだが。せめて本来の宗教活動に専念できるように寺の経営は最低限安定させて、お上人さんたちにはその使命をまっとうしてもらいたいと願っている。

マツダ自動車2代目の社長が好んだ言葉、「照一隅者是国士」は、テレビで見ていつか紹介しようとメモしておいた。「それぞれの役割において、隅を照らすものこれが国の宝である。」という意味らしいが、3月の震災後、私たちの日本には宝もののような人々がたくさんいることに勇気づけられた。また寺においては、日々そういう方々によって支えられている。寺の決算で数字はさほど問題ではない。どんな形にしろ受け継がれて700年あまり、53代目の住職が現役だ。優良企業!!私たちの寺、お宝はないが、かかわる方々全員が株主であり宝物ではないだろうか。

大好きな映画に影響されて、昨年かき氷マシンを自腹で買ってしまいました。夏の寺参りは冷たいかき氷で!お待ちしています。

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