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「任意後見」のお勧め

2009年12月号

小川英爾

引き続き葬儀の生前契約″のご相談があります。一方で、相談しただけで書類にしなかったため、ご本人の希望が叶えられなかった例もありました。また書類にしたものの、いざとなったら親族の同意が得られそうもない事情だと言うので、弁護士を交えた相談をして見通しのついた例もあります。

一人暮らしで親族も遠いAさんは、遺言書と葬儀の生前契約は完璧に出来ていました。ところが心臓病で倒れて救急車で運ばれ奇跡的に助かりました。幸いにも近所の親しい母娘がお世話くださるのですが、他人なので病院の保証人にもなれないし、銀行から預金を下ろして病院費用を支払うことも出来ません。唯一の姪も、遠方なうえ仕事があって思うようには動けません。姪であってもキャッシュカードと暗証番号がわかれば別ですが、銀行の窓口で預金を下ろすことはできません。

そこで遺言書を依頼した弁護士が、公証人、銀行員を伴って病院まで出向き、その近所の親しい母娘を代理人にする、「任意後見」の手続きを行うことになりました。心肺停止状態があったにもかかわらず、奇跡的に脳に障害が残らなかったから出来たことです。認知症など判断能力がないと、裁判官が病院まで出向いて「成年後見」の手続きが必要となり、大変です。

近くに信頼できる親族がいない場合は、公証人役場で「任意後見」の手続きをすることをお勧めします。親族でも「任意後見」が必要な場合もあります。″葬儀の生前契約″をお考えの方は「任意後見」を、また延命治療は不要だとお考え方は、その意思表示も必要です。

数々のご相談をお聞きし、こうもひとり一人の事情が違うものかと、改めて驚かされます。妙光寺では弁護士など専門家の紹介を含め、可能なお手伝いをしていますので、気軽にご相談下さい。

「一人暮らししているたった一人の妹が末期ガンです。もしものときは東京から連れて行きたいのですが」という電話がありました。都内の葬儀社を紹介して1ヵ月後、お姉さんの長男が付き添って都内の病院から妙光寺までご遺体を搬送。群馬に住むそのお姉さんの家族がそろって、妙光寺の京住院で葬儀を営みました。故人の希望通りになったと、とても喜ばれました。色々あった秋でした。

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