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檀徒でなければ・・・

2005年12月号

小川英爾

  十一月のある朝の電話。「夫が先ほど息を引取りいま病院にいます。以前『妙の光』にあった『ある家族葬』を読んだ本人も、葬儀を妙光寺さんでと強く希望していました。症状が安定したらお訪ねしてご相談するつもりでいたのですが、急変して間に合いませんでした。葬儀社さんに迎えてもらって、すぐに伺ってもいいでしょうか」。
  急な話でしかもその日お寺では葬儀の最中でした。一端自宅に戻っていただくことをお話しましたが、自宅が遠方のため再度お通夜でお寺に移動するのは、物理的にも経費的にも大変です。都合を聞いた葬儀社さんの機転で、斎場の一室を借りて一晩過ごすことにして病院から斎場に搬送となりました。駅にも近く、向かいにスーパーもある所で何かと便利です。
  翌日の午後お寺に移動してお通夜、親族が泊まって翌々日に葬儀となった次第です。広いお寺は寒い季節決して快適とは言えず、看病疲れの家族には辛いと思われます。(こんなときに家族だけで気兼ねなく過ごせる、小さな離れ式の建物でもあったらいいと思うのですが)。
  結果的にことは順調に進んだのですが、一時はどうすればいいか困りました。その場で的確な判断が求められ、方針が決まって動き出したら後での変更は難しいのです。ことは会場の問題だけではありません。喪主が決めるべきことはたくさんあり助言はします。しかし何よりも会員の場合、妙光寺の形式でいいのかが決まらないとお手伝いできないのです。ですから本人が事前に意思表示をしておく意味で、ー原則として檀徒でなければ葬儀はお受けしないーとしてあるのです。
  あるときは「親戚が来なければ妙光寺さんにお願いするかどうか決められないが、どうしたらいいか」との電話もありました。このときは冷たいようですが「皆さんで相談して決まってからご連絡ください」とお応えするしかありませんでした。
  ことは葬儀のときだけでなく、その後のことがいろいろ関係してきます。頭で考えていたことと、いざ大切な方を失った際に生じてくる遺族の気持ち、また周囲の意見は必ずしも一致しないことの方が多いのです。
  事前によく話し合い、ご相談くださることをお勧めします。それは結果的にこれからの生き方にも大きく関わってきます。先日の授戒会を受けられた方の「思いがけない大病をして、これまで真面目一筋で生きてきた人生を改めて振り返りました。そこで最期の締めくくりまで考えて戒名をいただくことにしました」という言葉が印象的でした。

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